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【報告】タイ研修旅行報告5 現地レポートまとめ

私たちがメーコック財団に滞在する目的は、子供たちとの交流と施設での奉仕活動です。およそ1週間の滞在期間のうちには自由な時間もあります。ともすれば宿舎に引きこもったり、学びとはかけ離れた時間をぼんやりと過ごしてしまいがちです。事前学習が有効に働いたかどうかは、この施設での生徒たちの暮らしぶりによく表れます。私たちはメーコック財団での体験をより上質な学びの機会とするために、事前学習では社会課題に関する基礎知識の習得と同じ重さをもって、参加生徒たちが自分の殻を破り主体的に動き出すための布石を打ってきました。13日間、寝食を共にしながら学び合うためには、生徒たちが互いの違いを許し合える温かい関係性がどうしても欠かせないのです。

山岳民の子供たちと聖学院の生徒たちが言葉の壁を越えて協働するために、3つのプロジェクト学習を仕掛けました。「記念Tシャツ制作プロジェクト」「フリーマーケット・プロジェクト」「料理プロジェクト」がそれです。生徒たちは出発の1か月前から準備をして本番に臨みました。初めから終わりまですべて生徒たちが自分たちの責任で進めてゆきます。教員の仕事は見守ることです。
どのプロジェクトも現地スタッフや子供たちの協力を得て成功を収めることができました。生徒たちが誇りをもって活動し、協働すること自体を楽しみ、プロジェクトの成功を喜んでいる姿がとても印象的でした。

生徒たちは施設の仕事をよく手伝いました。洗い場のあたりには、いつも子供たちやスタッフに交じって生徒たちが手伝いをしていました。それは当番を決めてしていることではなくて、生徒たちがまったく自主的に始めたことです。起床時間よりも早起きして朝食の支度を手伝う生徒が日を追うごとに増えてゆきました。

親と離れて施設で暮らす子供たちは、さまざまな事情を背負っています。ここはそんな子供たちを支援する施設であり、ここを訪れる人は彼らを支援したいと思う人です。だから、聖学院の生徒たちも子供たちを助けたいという思いをもっていたはずです。しかし、共に同じ時間をすごすうち、助けるー助けられるという関係が逆転したり、そのような単純な上下関係など存在しないという気づきを得るようになります。タイ北部と東京、ふだんは遠いところで暮らしていますが、こうして彼らは大切な「隣人」になりました。
タイ研修旅行は隣人と出会う旅です。2週間弱の間にたくさんの人たちと出会い、関係を結びました。おそらく生徒たちは、隣人たちの表情や彼らの暮らす風景を思い出してお正月をすごしたことでしょう。
3学期は社会課題レポートや紀行文の執筆活動に入ります。隣人たちの表情と彼らの暮らす風景を思い浮かべながら、事後学習に取り組んでゆきます。