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§4. 「共に学び合う」ことで向上する

理科の授業

聖学院の教員組織は、「共に学び合う組織」です。それは、議論をして自らの想いを広め深めていくだけではありません。実際に授業を見合う機会も設けています。
§3で、「対話をしはじめるや、そこに本質的な問題が埋まっていたことに気づいたのです」と書きました。それでは、その「埋まっている本質的な問題」は何でしょう。その答えは、授業というフィールドにあります。ですから、授業を見学し合うのです。



すると、いろいろなことがわかってきます。今回は、理科の場合をご紹介しましょう。理科では、「実験」を大切にしています。受験生を対象にした体験授業の申し込みもすぐに満員になってしまうほど生徒は「実験」が大好きです。しかし、一口に「実験」と言っても、生徒の成長に合わせて、その意味を変えています。実験後、生徒は「レポート」を書くこともしばしばですが、この「レポート」も生徒の成長に合わせて、どこまで書くのか、探求するのかは異なっているのです。

朝のHR(祈りの時間)
朝のHR(祈りの時間)

このような授業見学を通して、理科のすべての教員は、「動機づけ」、「好奇心の入り口」、「疑問を生み出すきっかけ」、「仮説検証の科学的思考のモデル作り」、「理論と現実のすり合わせ」、「知識、法則性などを活用して、自分の言葉で実験結果をまとめる」などの授業の目的を、生徒の成長に合わせてデザインしていることに気づいたわけです。
いっしょにシラバスを作ったり、入試問題や定期テストを作り合ったりしているのですから、当然の帰結なのですが、その気づきを再び教科会議で対話しながら確認することは、「共に学び合う組織」にとっては、とても大切なことです。


数学の授業
数学の授業

というのも、教師はシラバスの内容を通して、学びのおもしろさ、論理的に考える技術、知識の構造化を教授しているつもりですが、すべての生徒に伝わっているかどうかは、他者の目を通してわかることも多いのです。最近「振り返り」という言葉は、いろいろなところで使われていますが、自分一人で「振り返り」をするだけではなく、同僚と相互に「振り返り」をすることのほうが、多くの気づきを得ることができると確信しています。別の例になりますが、数学科で行なっている「東大生フェロー」では生徒同士の振り返りを重視してプログラムを進めています。

聖学院には、文理選択がありますから、中3になるまでに「楽しませる」から「自ら楽しむ」という成長の形成を準備しておかなければ、選択する分野かそうでない分野かで、モチベーションが下がらないとも限りません。
この課題は、中高一貫教育の永遠の悩みであり、同時に解決するたびに、目を見張る成長の飛躍を生み出す源泉でもあります。そしてその課題解決は学年によって違います。だから、いつも対話し続けなければならないのです。