【海外研修】ネパールMoG ビジネスで社会課題に挑む9日間
7月29日(火)から8月6日(水)の日程で、中3から高2まで43名の生徒たちが、ネパール・カトマンズで「MoG(Mission on the Ground)」プログラムに参加し、現地の社会事業家とともにビジネスを通じた課題解決に取り組みました。
【事前学習】
主にMission・Vision、4C5P分析、8stepsなどのマーケティングの基本を体験的に学習し、出発前は3つの社会事業にチームに分かれて活動しました。
・竹という伝統素材を活かした製品を通じて、環境保護と地域経済の循環を目指す「Bamboo Bazar」
・廃棄されるジーンズやデニム生地をアップサイクルする「re.kriti」
・健康的なペットフードを通して地域犬の課題に向き合う「Haapu」
それぞれ現地の社会課題と事業内容について概要を踏まえ、直前には事業家とオンライン会議を行ない、具体的な事業イメージをつかんで本番に臨みました。
【事業家と対面】
ネパールに到着して最初の行動は、各チームが関わる事業の本拠地である社屋や関係施設の訪問でした。事業家本人との対面を果たし、現場で働くスタッフや関係者の声を直接聞くことで、それぞれの事業が直面している課題のリアリティを強く感じました。街の空気、人々の生活、そして事業の背景にある社会状況を肌で感じることができ、机上での理解とは異なる視点が生まれました。
【コンフリクトに直面する】
事業家からの課題を受け取り、生徒たちは街頭調査やインタビューを実施しました。現地の人々への聞き取りや製品の観察を通じて、事前に考えていたアイデアや仮説が通用しない場面も多く、チーム内で計画の見直しを余儀なくされました。
本番中には、あらかじめ想定していた通りにはいかない困難にも直面しました。インタビューに踏み出す勇気が出なかったり、チーム内で意見が割れたり、自分の出したアイデアに厳しいダメ出しが返ってきたりしたのです。しかし、それらのコンフリクトを乗り越えることで、生徒たちは少しずつ変わっていきました。自ら進んで発言し、仲間と協力し、積極的な言動が目立つようになりました。
【メンターの働き、マインドセットの機会】
各チームに大学生・大学院生のメンターが2名ずつ付き、活動の進行を支えてくれました。メンターは対話を通して生徒たちの問いかけに耳を傾け、思考を深め、議論を整理してくれました。生徒たちは、こうした年齢の近い大人との関わりから、人格的な面でも多くの学びを得ることができました。
この研修では、単なる実践活動だけでなく、心を整え、行動の意味を問い直す「マインドセット」の機会が豊富にありました。
一日の始まりと終わりに気持ちを共有する「チェックイン・チェックアウト」、自分とチームの行動を一人で振り返る「リフレクション」、そしてメンターと1対1で語り合う「1on1」。これらの時間を通じて、生徒たちは自分の感情や考えを言語化し、成長を実感していきました。
【販売会、そして事業家への報告会へ】
調査と試行錯誤の末に練り上げた提案は、実際の販売会という場で試されました。生徒たちは、自ら考案した商品やPR方法を使って、来場者に向けて接客・説明・販売を行い、提案の有効性を体感しました。結果は成功ばかりではありませんでしたが、実際の反応を通じて得られた学びは大きなものでした。
最終日には、それぞれのチームが事業家に向けて英語で提案を発表しました。緊張のなか、拙い英語であっても全力で思いを伝える生徒たちの姿がありました。表現の力強さにはまだ課題が残るものの、事業家たちは真剣に耳を傾け、具体的な質問を返してくださいました。中には、実際の新商品としての採用が検討される提案もあり、社会とつながる実感を得る貴重な場となりました。
【MoGの学びの意義】
この9日間の研修で、生徒たちは異文化に身を置きながら、ビジネスを通して社会の課題と向き合いました。それは、知識や技術の習得を超えて、自分と他者、人と社会の関係性を深く問い直す時間でした。葛藤と対話の中で得た経験は、思うままにはならない現実を受け止め、突破してゆく力となって、生徒たちの中に生き続けていくことでしょう。(引率:伊藤 豊)