入試・説明会情報

思考力入試ガイド 生徒への取材ー受験生の本音ー 公開しました

2018年度入試から難関思考力入試(旧名称「思考力+面接」入試)が実施しました。従来の思考力入試より難易度を上げ、将来リーダーとなりうる人材の発掘を目指す入試で、初年度は5人の合格者を出しました。
その5人の中から上田くん、北村くんの2人に集まってもらい、難関思考力入試の担当教員である児浦教諭と共に試験を振り返りながら、その内容と難しさについてお話を伺いました。

2019年度思考力入試ガイド⇒内容はこちら

●参加者プロフィール

限られた時間の中で大人顔負けのレゴ作品を作り、かつ細部にまで必然性と意味を持たせて課題に完全回答。

お父さんから日々受ける質問攻めのおかげで社会問題について考える習慣が身につき、高度な対応力を発揮して合格。

21教育企画部長。思考力入試において、とかく漠然としがちな思考力というものを客観的に評価・採点できるロジックを策定。入試当日の面接官も担当。

 

入試広報部職員 思考力入試の実施・運営を担当。この座談会の司会進行。

 

●難関思考力入試は何でしりましたか?

上田くん「聖学院の学校説明会で知りました」

北村くん「5年生の時に初めて(聖学院に)来て、休み時間に生徒がみんな明るく過ごしているのを見て『いい学校だなぁ』と思って説明会に参加しました。そこで思考力入試を知りました」

児浦教諭「確かに、生徒も教職員も前向きで明るい学校だと思います」

●聖学院以外にどこを受験しましたか?

上田くん「ないです」

北村くん「ないです」

児浦教諭「えっ、ウチ(聖学院)だけ?!」

上田くん「そうです」

北村くん「そうです」

児浦教諭「おおぉ…そうなんだ…」

入試広報部職員「ありがとうございます」

●どんな問題が出題されたか覚えていますか?

上田くん「日本の少子高齢化について、AIを使ってこれから何をしたらいいか考えを書く」

北村くん「あとレゴと面接の時は、AIと医療をどのように組み合わせれば実用化できるか聞かれました」

児浦教諭「問1は少子高齢化や医療現場に関するデータが大量にあって、その中から抽出したことを書くという問題でした。
問2は医療をする側と受ける側の課題を書く問題。データから読み取ったことを整理して書けるかが評価のポイントでした」

入試広報部職員「私が小学生のときだったら無理だったと思います」

児浦教諭「2人は問3を覚えてる?」

北村くん「AIについて先生が喋って…」

児浦教諭「そうそう聞き取りね」

北村くん「AIが人に似過ぎると嫌だっていう人がいる(という話)」

児浦教諭「AIが発達すると人間の働き方が職業ごとにこうなるだろうという予測をして、人間にとってのメリットとデメリットについて話をしました。
2人はかなりメモを取れていましたね。素晴らしいです。合格した子はすごくメモを取れていたのですが、ここで(合格した子とそうでない子の間に)かなり差が開きました。
(小学生には内容が高度すぎて)少しかわいそうだったかな(笑)
でも、2人があのレベルに応えたのにはびっくりしました。あそこまでできるとは思ってなかったので」

北村くん「次の問題は、“どういうふうにすればAIをうまく利用できるか”」

児浦教諭「その通りだね。それをレゴで作って下さい、というのが問4です。
そのレゴで作ったものを作文で説明してくださいというのが問5です」

北村くん「問6が、これから人間はどうすればいいのか、みたいな問題でした」

児浦教諭「そう、人間とAIがどう共存していくかという問題ですね。
この最後の問6はほとんどみんな白紙だと思っていたので、(書けなくても)それでもいいと考えていたのですが、2人は回答欄いっぱいに書いていました。
高3の情報の授業でも苦労していた生徒がいたのに、小6で書けているのが凄い」

北村くん「人間は今まで通りでいい。何かできないことを助けるためにAIは使うべき、ということを書きました」

上田くん「たとえば、パン屋だったら全部ロボットがパンを焼いちゃうかもしれない。それで、余った人手は病院とかで(医療自体は機械化していると思うから)心のケアにあてる仕事をした方がいいと書きました」

北村くん「その後、受験生のみんなは半分に分かれて、自分たちの考えを紹介し合いました」

児浦教諭「そうですね。面接を待っている間に他の人の作品を見て、取り入れたいところはどこかをワークシートに書いてもらいました」

上田くん「他の人の作品もみんな一つひとつに意味がありました」

北村くん「自分では発想できなかったことがまだまだたくさんあるんだなぁと思いました。それをもっと自分の作品に入れていけば、もっともっと良くなると思いました」

●難しかったところや悩んだところはどこですか?

上田くん「ないです(即答)」

北村くん「僕もないです」

入試広報部職員「ホントに?!」

児浦教諭「(笑)
「ものづくり思考力」入試と「M型思考力」入試では、漢字は小学生でも読めるようにしました。一方で、難関思考力ではルビをふったのですが、容赦なく漢字もデータも高校生レベルのものを使いました。わからなくてもチャレンジしてくれることを期待して」

北村くん「漢字は勘で、前後の文章から、読み取りました」

上田くん「(知らない漢字は)読み飛ばしました。AIとかロボットとかの文章だから予想して読みました」

●AIやロボットが社会的関心事になっていることを入試前から知っていましたか?

上田くん「新聞とかでは知っていたけど、ここまで(具体的な問題点など)は知りませんでした」

北村くん「僕は知っていました。僕の父がそういう番組が好きなので、よく一緒に見ていました。見終わった後に、内容について『僕はこう思うよ』って話をすると、すごい質問責めにあいました(笑)
それに比べれば、試験の面接の方が優しかったです」

児浦教諭「上田くんもそうだけど、北村くんにはかわいそうなくらいズバズバ質問したんですよ。いいものを持っているけど、(レゴ)作品だけでは何を考えているのかわからなかったので。ズバズバ質問したら、どんどん答えが出てきたから僕の方がびっくりしました。
企業の採用面接と変わらないくらい厳しく質問をしたのに、すごいですね」

北村くん「家で父と一緒に、お風呂に入っている時もずっと質問責め(笑)一つ答えると、更に倍以上の質問が返ってきます。そんなやり取りをしていたら、急な質問にも答えられるようになりました。
前に父から、『介護施設に入るように言われているけれど、嫌がっている人がいる、それはなぜか』と、質問がありました。その時の話が今回の解答のヒントになりました」

上田くん「毎日面接じゃん」

北村くん「そうそう(笑)毎日児浦先生より厳しい質問がくる」

入試広報部職員「お父さんの役割は大きいですね」

●どんなレゴ作品を作って、面接ではどんな質問をされましたか?

児浦教諭「北村くんはロボットがかなりシンプルでした。彼なりの考えがあるのだろうと思い、それを引き出すような質問をしました。北村くんから、『これは在宅医療ロボットだけど、手術のような高度なことはしない』という説明を聞きました。そこで、『じゃあ家でも手術できるようにしてよ』って意地悪なことを聞きました。そしたら、『家を無菌状態にするのは難しいから』という明快な答えが返ってきました。さらに、『公園に無菌室をつくり、そこで手術できるようにしてもいいですね』と。脱帽しました。

上田くんのはだいぶ凝った作品でしたね。私はレゴ®︎シリアスプレイ®️の資格を持っているので、数多くの研修に参加しましたが、これほどの作品を短時間で作った人を見たことがありません」

上田くん「真ん中のカプセルみたいなところが、患者さんが入るところです。左に人が二人いて、この人たちがさっき話したAIの発達で人手があまっちゃった元パン屋さん。患者さんの心のケアにあたっています。
患者さんがリラックスできるように映像を映し出せる装置もあって、もっと楽に手術が受けられればいいなと思ってこの作品を作りました。
あとで『ここはどうなんですか』と聞かれても、一つ一つ答えられるように意味を持たせて作り込みました」

児浦教諭「作品の細部まで全てに意味がある。だから、質問したことに対して全てしっかりとした答えが返ってくる。
中でも印象に残っているのが、『AIが発達すると、すごく無機質な社会になっていくから、そこにふれあいや自然とかを調和していくべき。高齢化社会だし心のケアが重要、そういう意図を織り交ぜた』というものです。何を聞いても返ってくるので、かなり意地悪な質問もしました。
意地悪な質問へのストレス耐性があるかどうかも見ていました。この入試では(入学後)学校の中のリーダーとして頑張ってくれることを期待しています。その点は、2人は跳ね返す力があるというのが私たちの結論でした。ルーブリックに当てはめたら満点でした」

●将来の夢は何ですか?

上田くん「将来アプリとかを作る仕事についてみたい。みんなが楽しめるものを作りたいです」

北村くん「僕は人の役に立つことがしたい。具体的には決まってないけど、自分のために何かを作るのではなくて、他の人が楽になるものを作ったり発明したりしたいです」

●受験勉強はどうやっていましたか?

上田くん「僕は塾をやめました。夏期講習で1日10時間も講義うけて、こんなにやっても集中力がもたないし意味がないなって、思ったからです」

北村くん「僕が受験勉強を本気でやったのは2週間。元々英会話教室にしか通っていませんでした。2週間はテレビを見ずにがんばりました。
勉強法は過去問題集を見て、傾向を理解しました。学校を休んで勉強している子もいたけど、僕は親に、学校に行けって言われていました。『行きたくなければ行かなくていいけど、受験勉強で休むのなら学校で勉強しろ』と言われました。だから学校で普通に勉強して、家では30分くらいの勉強に集中していました。特に社会科とかは、問題を読むより答えを読んだ方が物語みたいで、楽しく読めるのでそれで覚えました」

上田くん「『まんが日本の歴史』を繰り返し読めば覚えられるのと同じだね」

児浦教諭「そういう勉強の仕方をどこで教わってくるの?」

北村くん「普通の勉強が嫌いだから(笑)
父が言っていましたが、『量をやれば知識量は増えるけど、全てが将来役に立つとは限らない。知識だけじゃダメだ』と。
実は僕、夏あたりは本当に偏差値低くて25とかでした(笑)で、その時父に『落ちたらどうしよう?』って聞いたら、『もし落ちても、勉強をやったという事実も知識もなくなるわけじゃない。だから無駄にはならないよ。中学受験で落ちても、高校受験の時にそれがあるのとないのとでは全然違ってくる』と言ってくれたんです。それからプレッシャーを感じないで勉強することができました」

入試広報部職員「みなさんありがとうございました。色々と勉強になりました」