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【GIL】観察と発想を楽しむ「あたりまえストレッチ」 〜コンビニの常識をひっくり返して新商品を開発しよう〜

私たちは身の回りのたくさんのものごとに何の疑問を持たず、それが当たり前のように生活しています。例えば、「学校には制服を着ていくものだ」とか「電車は駅にやってくるものだ」などなど。「そんなの、あたりまえでしょ!」「そんなこと考えて何の意味があるの?」って思うかもしれません。でも、そのあたりまえに気づき、見方を変えて、思い切ってひっくり返してみることが、ワクワクするアイデアの種につながります。今回の記事では、そんな「あたりまえ」を起点にコンビニの新商品を考えるワークショップをレポートします。

5月28日(土)5限に、中3はGIL(Global Innovation Lab)で「デザインのとびら」の皆さんをお迎えし、ワークショップを行いました。このワークショップでは、誰もが行ったことのあるコンビニをテーマに、誰も見たことのないような新しい商品開発を体験します。ワークショップを通してアイデアを発想し、簡単なプロトタイプの制作、プレゼンテーションを行いました。このプログラムは、普段企業内で新しい商品やサービスの企画を行っているデザイナーが提供してくれています。プロのデザイナーと一緒に、ワークショップを通して、きめ細かい観察力とやわらかい発想力を磨きました。

【ワークショップの流れ】
① 観察・洞察・共感 コンビニでよく買うものや、よく使っているサービスを挙げる
コンビニを思い返しながら、何が売られているか、何を使っているか出来るだけたくさん思い出してみます。コンビニへ行く時の自身の行動を思い浮かべたり、ご家族や店員の行動に共感しながら、コンビニを頭の中で観察、洞察していきます。

② 取り組む商品を1つに絞り込む
思い出した商品の中から今回取り組みたい開発テーマとなる商品を1つピックアップします。自分がよく買うもの、馴染みのあるもの、ワクワクするものを選んでいただきます。

③ 事実の発見 商品の「あたりまえ」を書き出す
取り上げた商品について、「あたりまえ(機能、素材、質感など)」な「事実」を書き出していきます。
多くの場合、商品についてよく知っていると思っているものほど、あたりまえを書き出していくのは難しくなります。あたりまえ過ぎて気にも留めてないことをいかに気付けるかにチャレンジします。

④ 発想の転換 商品の「あたりまえ」をひっくり返す
抽出した「あたりまえ」を元に、商品の機能や素材をひっくり返してます。単純にあるものを無くすだけでなく、数量や大きさを変えたり(増やしたり、減らしたり、大きくしたり)、別のものに置き換えたりなど、自由に発想します。

⑤ 新商品アイデアを考える
ひっくり返した言葉を参考にして、アイデアシートに新商品のアイデアを記載します。商品の外観、売られ方、パッケージなどについても分かりやすく具体的に書き出してみます。言葉だけでなく、絵も使いながらアイデアを膨らましていきます。

⑥ アイデアの共有とブラッシュアップ
2人組で、お互いに自分のアイデアを紹介し、フィードバックを送り合います。
どうやって使う?どういう人が買う?などを明確にしてアイデアの課題を抽出していきます。好き嫌いやできるできないなどのバイアスでコメントするのではなく、面白い部分やもっと良くなる方向性について建設的なフィードバックを心がけてもらいます。
コメントを参考にして、新たなアイデアシートにブラッシュアップした商品アイデアをまとめていきます。

 

⑦ プロトタイプモデルを作製する
ダンボール、紙類、スチロールなどを用いて、サイズ感や使い方を検討する簡易モデルを作製します。
この段階では、アイデアを人に伝えるため、もしくは自分の中でアイデアを明確化していくための簡易なものを作成します。あり合わせの素材を用い、素早く形にすることが求められます。

⑧ 新商品アイデアのプレゼンテーション
新商品アイデアについてグループで発表します。どんな「あたりまえ」を見つけ、ひっくり返したのか、発想した商品の特徴を作製したモデルを用いて説明します。

商品名:『○○○プレイペイドカード』

金額が数字で表記されている無機質なカードから、液体の量によって視覚的にも感覚的にも感じることができるカタチ変えた作品

商品名:『定食が丸っと詰まった巨大おにぎり』

小さいおにぎりのサイズを覆し、定食を丸っと詰めちゃう新発想。2種類のパッケージも考えた作品

子どもたちは、学業の中では商品について考える機会はないものの、普段生活の中で毎日のようにたくさんの製品・サービスに触れています。いったん社会に出ればそうしたビジネスの一部に多くの人が関わっていくでしょう。

このプログラムでは、プロのデザイナーが実際に商品開発の際に活用している考え方を用いて、新しい商品開発のプロセスの一部を疑似体験する経験を獲得しました。アイデアを生み出す発想力だけでなく、普段何気なくやり過ごしている「あたりまえ(事実)」に気づく視点を持つことの大切さを感じることができ、今後自身で様々な課題を見出していく際の助けになることを期待しています。(GIL担当:山本 周)

ワークショップパートナー:デザインのとびら