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§3. 教科を超えた対話

理科の実験
理科の実験

聖学院の授業は、久しい間、21世紀型教育というビジョンの実現に挑戦しています。このような授業の質は、各教師が、教科を超えて、共に学び合う対話によってさらに豊かになります。
そのため、聖学院の教師は、授業や行事など教育活動の運営について協力し合うだけではなく、「授業」そのものについて共に学ぶ対話の機会をきちんと設けています。

1)新しい学校づくり委員会で、教科を超えて聖学院の授業について対話
2)各教科会議で、教科の授業について対話
3)互いに授業を見学し合う期間の設定
4)月一回程度、有志が集まって開く「授業フォーラム」
5)学校説明会などで、上記の対話によって得た共通意識や技術の試行の成果をプレゼン

教師が一丸となるとは、侃々諤々、話し合うことだけではなく、対話によって得た気づきを、試行し成功例を増やしていったり、共通認識に立てた言葉を、授業という場の状況に実践的にリンクしていったりする行動を起こすということです。そしてその成果を検証し合い、情報をオープンにして、未来の聖学院生と入学前から共有しておくことだと考えています。
対話の場は、多角的な視点に気づくために、全員参加型のもあり、有志が集うスタイルのものも必要です。対話のイメージと実践のイメージをすり合わせるためには、互いに授業見学をし、気づいたことをフィードバックすることも大切です。

国語の授業
国語の授業

さて、聖学院の授業の対話のトルソーにすぎませんが、その様子を少しご紹介しましょう。このような対話は、まずはテーマや課題を自ら探して設定しなければなりません。シラバスやカリキュラムが設定されている場合は、わりと目標が明快なのですが、聖学院の、つまり自分たちの授業とは何なのか?21世紀型教育という時代の要請に誘(いざな)われて、日々生徒と共に創意工夫している授業とは何か?
生徒たちに既存の知識がなくても論理的にあるいは批判的にアイデアをデザインして、問題を解決していく力を身につけようと公言しているわけですから、自分たちも課題そのものを自ら設定し、1つではない解答を求めることに挑戦しなくてはなりません。

技術の授業
技術の授業

このような場合、まずはよくある方法ですが、マインドマップやKJ法を使うところから始めました。たとえば、最初に教科主任が集まったとき、聖学院の授業の特徴を表すキーワードを広げるだけ広げました。そして、ペアで情報を交換したり、全員で真剣に議論をしたりして、カテゴリーわけ(分類)をしました。
すると、「自学自習、自主、自律、主体性、向上心、モチベーション」など生徒の「成長」を表現するキーワードがたくさん共通して出てきました。また、「答えのない問題、論理、批判、広い視野、気づき、思考の文章化、自分の意見、ディベート」など「思考過程」を表すキーワードもたくさん出てきました。そして、なんといっても「コミュニケーション能力」「共感」「学び合い」「知的好奇心」「進路」というキーワードは全員が共通して語った言葉です。

これらは、教育において、もしかしたら当たり前のキーワードかもしれませんが、互いに授業を見学し合って、1つ1つのキーワードが授業の中に埋め込まれて、息吹いているのを確かめました。自画自賛になりますが、聖学院は、共に学び合う私立学校だったのです。
そこで、今度は、カテゴリー分けしたキーワードを活用して、聖学院の授業とは何かステートメントを作成することにしました。授業における共通のビジョンを共有することは、自分たちの道の妥当性や信頼性の一つの証です。しかし、対話をしはじめるや、そこに本質的な問題が埋まっていたことに気づいたのです。
学びの状況や生活習慣の向上について 生徒1人ひとりとコミュニケーションを取りながら、一方で本質的な教育の在り方について同僚と語り合う日々が聖学院の教育活動なのです。