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【高2生徒の活躍】「誰でも着れる制服プロジェクト」から、ファッションフロンティアプログラムで最優秀賞獲得

「誰でも着られる制服PJ」の高2代表生徒たち(左手前が本田琉碧くん)

この度、高2A組の本田琉碧くんが、社会課題に向き合う未来のデザイナーを育成するためのプログラム、ファッションフロンティアプログラム(FFP)において最優秀賞を獲得いたしました(受賞レポートはコチラから)。本田くんの作品は、12月13日(月)まで、港区六本木にある国立新美術館で展示されています。

FFPで受賞された本田くんの作品

このプログラム参加のきっかけとなったのは、今年度の記念祭に向けて実施した「誰でも着れる制服プロジェクト」です。これは、多様性やサステナビリティの観点から「制服」を新たに創造する試みでした。
この制服プロジェクトを発信するために制作された動画(コチラから)をご紹介します。
動画を撮影・編集したのは黒沼七音くん、モデルとして内藤潤くん、オースティンアーサー・真理朗くん、宮沢太郎くんが出演しています。本田くんと同じ本校高2の生徒たちです。また、他校の女子生徒たちにも協力していただきました。

今回の受賞にあわせて、本田くんの考案した制服デザインや動画をより一層楽しんでいただくために、彼らにインタビューを行いました。個人の活動から同級生を巻き込んだプロジェクトへと展開していった経緯や、実際にその「制服」を着てみた感想、どのようなことを考えてデザインされたのか、動画制作のプロセスなどについて話を聞きましたので、ぜひこちらもあわせてお読みください。

 

【Q.プロジェクトを立ち上げた経緯は?】

(本田)コロナが蔓延し、楽しいことが減って、いろいろなことが制限されているなと感じていました。誰かが手作りしたものを見て楽しかったなとか、プラスの感情を与えるものができたらいいなと思い、自分は何ができるだろうと考えた時、「洋服つくれるなぁ」と。いろんな人が携帯を利用してタダで見られる時代なので、「楽しい」を共有できたらいいんじゃないかなって思いました。

熱い想いを語ってくれた本田くん

【Q.みんなを巻き込みたいと思ったのはなぜ?】

(本田)コミュニケーションの能力が自分の課題としてあって、そういう文化をまとめるっていう力がこれから必要だと思ってるし、実際に今までやってきた以上に大きいプロジェクトだったから、それぞれ必要な人の協力がないとできない内容と思い、声をかけました。


【Q.自由な服装を学校に求めるのならば、「制服をなくそう」という発想もあったと思うけれど、「制服」という枠組み・ルールを選んだのはなぜ?】

(本田)服に限らずなんでもそうですが、嫌だから排除するという考えは安易だしその方が簡単です。あえて昔から日本に根付いている制服文化を壊さず新しいものを創造した方が面白いものができるとも思います。


【Q.すべてのシーンに立ち会って、編集作業を終えてどんなことを感じたか?】

(黒沼)素材がめちゃくちゃいいから、一番はじめに構成を考えて、1ヶ月ぐらいずっとある素材をどう組み合わせるかを考えていました。


【Q.デザイナーとしての本田くんと映像ディレクターとしての黒沼くんの互いのイメージのすり合わせはどう行なっていった?】

(本田)お互いに大好きなものが違っても、最終的なゴールは同じだったと思います。いいものを作りたいという思い自体が同じだったから、難しかったんですけど、結果オーライでした。
(黒沼)そうですね、最初はファッションショーというところから、例えば何?っていうパターンを連想させていきました。ファッションショー動画といいながらもファッションショー映画みたいな感じで、物語性をつけるっていうのがすごく難しかったです。


【Q.モデルとして参加してみてどうだった?】

(内藤)当日は普通にめっちゃ服つくっていて、これ全部作ったんだって驚きました。思った通りのすごくいい動画ができてよかったです。
(宮沢)どれも着たことのない種類の服だったのですが、着てみたらかっこよくなるんじゃないかと思いました。すごく新しい感覚でした。
(オースティン)正直恥ずかしかったです。あと、その日は暑かったんです。走って、汗だくになりました。でも、最後の方は楽しくなっていました。


【Q.この「制服」を、いつもの学校の空間で着てみて、今着てる制服との違いなど感じたことや、自分の中で起こった変化はあったか?】

(内藤)自分はずっとスカートを履いていたが、新しかった。でも、生活しづらかったですね。
(宮沢)なんか色がすごく派手だったので、制服って暗い色ばっかりだから、そういうことも考えてるのかなって、楽しかった。
(本田)今回制作した制服は一応ジェンダーレスをテーマにしています。学校は社会のしくみを学ぶところでもあるけど、その個性を育む場所でもあると思います。そして、社会はどんどん変わっていて、同性愛や多様性が受け入れられる時代になってきています。ファッションってアイデンティティを表現する一番大事なものだと思う。オースティンの着た制服は、スカートやワイドなシルエットで、たくさんギャザーが入っていて、あえて岩のようなシルエットにしているんですけど、見る人によって感じ方が違う。着る人だけでなく見る人によっても、その感じ方が変わるということも意識しました。どちらかというと、「制服」よりは「ファッション」寄りで表現できていれば正解なんじゃないかと思います。
(オースティン)見た目と違って着てみると、結構、通気性が良かったです。
(本田)通気性がいいのは、インドネシアの方の民族衣装からアイデアをもらってきました。あんなにワイドに股下が長いと、冬だと温かい空気が中にこもって暖になるし、夏だと冷たい空気が中に溜まって、通年着れるデザインになっているんです。

ギャザーやワイドパンツ、セーラーカラー

【Q.みんなの中でどんな人に届けられたらいいなと思うか?】

(内藤)例えば、最近のTikTokに出ているような、めっちゃかわいい男子。本当はスカートが履きたいような人に。
(宮本)この学校に興味を持ってくれている受験生に。
(オースティン)宮本くんに言われちゃいました。受験生やその保護者に見てもらいたいです。
(黒沼)個性を爆発させたい人や表現の方法がわからない人にぜひ届けたいです。
(本田)学校の制服に違和感を持つ人はもちろん、何かをするのに一歩勇気が出ない人に見てもらいたいです。

個性を大事につくってきたチームワークの良さを伺えたインタビューでした

FFPの授賞式で本田くんは「この制服プロジェクトの後、3ヶ月間のFFPスクール期間を経て、さらにベストな洋服を作れた。地球環境を考えながらも新しいものを創っていけるデザイナーになりたい。」と話していました。本田くん、本当におめでとう。今後の活躍が楽しみです。

授賞式で審査員のVOGUE JAPAN渡辺編集長と記念撮影