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【シリーズ:聖書の思考回路】第19回

ヨハネ福音書を記した作者は定言命題の実践を解いている。
Only Oneを見つけるヒントを語っている。
どこにそれがあるのか。
私たちがこれから行う作業です。
さっそくヨハネの言葉から考えることにいたしましょう。

ヨハネ福音書の始まりを見てみます。
「はじめに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった」
「言」という独特の表現が出てきます。
ヨハネ福音書はギリシャ語で記されています。
「言」となっているものは「ロゴス」と原文では表わされています。
ギリシャ語の「言・ロゴス」には特別の意味があります。

「言・ロゴス」を辞典でひけばこのようなものが出てきます。
原理、根本、第一原因
辞典ですから色々な表現を使います。
ですが言われていることはひとつのものに結びつきます。

原理、根本、第一原因
同じ構造です。
たとえば「第一原因」
それはすべての始まりという意味でもありますが、同時に「第一」という言い方にある意味は第一なのですから原因が「ない」ということです。
原因の始まりが「第一原因」です。

この世界にあるものはすべて原因を持っています。
私たちの体は両親という原因を持っています。
趣味嗜好は環境、時代という原因が大きいでしょう。
世の中の存在はすべて結果です。
原因があり、今の結果がある。
すべてがそうです。
ですから、その原因をさかのぼって行けばより深い原因に辿り着けます。
ひとつの原因が見つかっても、その原因を生み出している原因があります。
「原因」の原因を探し、見つかったら更に「原因」の原因を探していく。
どんどんさかのぼり、もうこれ以上の原因はありません。
これは原因を持っていません、というものに見つけられれば、それが根本です。
第一原因です。
原因を持っていない。
それは「定言命題」と同じ性質です。

「お前はかわいい」
条件、原因を持っていない「定言命題」
それは「言・ロゴス」と同じ構造です。

ヨハネ福音書は「ロゴス」が神だと言います。
世界の根本にあるものそれが「ロゴス」だと言います。
定言命題が世界の根本にある、と言っているのと同じです。

自分が「定言命題」を会得する。
それはOnly Oneを見つけることだと言ってきました。
ヨハネに言わせればこうなるでしょう。
Only Oneを見つけることは世界の根本を知ること。
神を見つけること。

ただこの神は雲に乗ったおひげを生やしたおじいさんを見つけようということとは違います。
世界の底ににあるものに触れようという試みです。
Only Oneを見つける。
それは私が私のことを分かれば見つけられる、というものではありません。
世界を知ることが必要なのです。

私の根っこ
私らしさ
Only One
世界の底と重なっています。
それを見つける
その作業を次回も続けていきます。