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【高2GICリベラルアーツ】ブルシット・ジョブとエッセンシャルワークの価値の転倒を見つめ、因果関係を解決する

”どこでもホワイトボードシート”に因果ループを描く生徒たち

高2グローバルイノベーションクラス(GIC)のリベラルアーツの授業において、聖学院中高のスーパーバイザー 神崎史彦先生が、論理的思考を養うためのワークを展開してくださっています。システム思考を学び、因果ループを作成し、個人の取り組みからグループワークへつなげ、6月24日(金)の授業ではグループごとで因果関係や根拠を探り、どのように逆回転させれば悪い流れがとめられるのか意見交換しながら、因果関係を判別する作業を行っていました。

神崎先生とディスカッションをする生徒たち

今回の題材となっているのは、今年1月25日に日本経済新聞電子版にて、社会学者の酒井隆史氏による『転倒した労働の価値』についての記事です。資本主義は爆発的な経済成長をもたらし、人々の生活を豊かにしましたが、商品を生産するなどの成長と結びつく労働だけが価値を認められる市場の論理が出来上がりました。しかし、コロナ禍で新しい生活様式、仕事の見直しがされ、実は何の役も立たない、仕事のための仕事が数多くあったことに気づかされ、こうした仕事は「ブルシット・ジョブ」と呼ばれました。一方、医療や介護に従事したエッセンシャルワーカーの存在は、実に社会の維持に欠かせないことに誰もがはっとさせられたにも関わらず、その価値とは裏腹に、低賃金・重労働などのひどい労働環境の事実が周知されました。コロナ禍では、ブルシット・ジョブとエッセンシャルワークの価値と評価の転倒した労働観が浮き彫りになった、ということです。

書き加えたり消したり、思考や言葉を止めずに作業

時には神崎先生からの質問に答えながら

紙と鉛筆で因果ループを描くグループもあり。書き方は自由!

この授業の最大の目的は「自分と世界をつなげる」ことです。他人ごとにせず、自分自身が社会問題と向き合い、様々な因果関係を見つける目を養い、解決に結びつけられる思考を鍛えています。神崎先生がおっしゃっていましたが、このクラスのすごいところのひとつは、グロープワークのメンバーがいつも同じではないこと。テーマによって、クラスメイトの様々な意見を聞きたい、吸収したい、相違も楽しみたい、自分や相手を受け入れられるつなげられる土台があるということです。今後は、グループごとで解決するためのプロジェクトを立ち上げ発表していくそうで、神崎先生も彼らがどのように解決に導こうとするのか期待されていました。

付箋を使いながら根拠を探して解決策を探る様子

プロジェクトへの立ち上げを促す神崎先生