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【中1情報プログラミング】カバンの中の“ひとつ”を、3分で伝える

 中学1年の情報プログラミングでは、ツールを「使える」ようになること自体を目的にせず、「何を伝えたいか」を先に決めて、その実現のために技術を選んで活かす姿勢を大切にしています。5月に紹介した第1単元「自己紹介――魅力を伝える」に続き、6月からの第2単元では、一段ステップを上げた課題に取り組みました。

課題は「自分の通学カバンに入っているものを1つだけ選び、3分間でプレゼンテーションする」。ただし、条件がひとつあります――発表のとき、その“実物”を見せてはいけません(スライドに写真を載せるのは可)。手に取って見せられない分、ものの魅力や自分との関わりを、言葉とスライドの構成だけで伝えることになります。

 第1単元との一番の違いは、評価の重心です。自己紹介ではスライドの「デザイン」を主に見ていましたが、今回は「スライドデザイン < プレゼン」。きれいに作ることよりも、話の流れ(ストーリー)で聴き手を引き込めているかを重視しました。スライドも1枚のカードから複数枚へと増え、Keynote(Apple のプレゼンテーションアプリ)のアニメーション――文字や写真を動かして登場・退場させる機能――を使い、“見せる順番”そのもので物語を組み立てます。さらに希望者は効果音(SE)にも挑戦し、フリー素材サイトで探した音をアニメーションに合わせて鳴らす、一歩進んだ表現に取り組みました。

第1単元の記事はこちら⇒【中1情報プログラミング】自己紹介で学ぶ「伝わるデザイン」とプレゼンテーション

この単元は、中学1年の全クラスで、週1回の授業4回を使って取り組みました。体育祭などの行事の合間を縫って、6月から7月初めにかけての実施です。進め方は「まず“もの”を決める → スライドで流れを組む → アニメーションと音で仕上げる」。何を伝えるかを決めてから、どう見せるかを考える――この順番を大切にしているのは第1単元から変わりません。

発表会は教室ではなく図書館で行いました。1クラスを7つのグループに分け、グループごとにプロジェクターでスライドを投影して発表します。持ち時間は1人3分(3分30秒で強制終了)。自分の番になったら iPad をケーブルでつなぎ、スライドを再生して話します。同じグループの生徒は Google フォームで、話の分かりやすさや構成などの観点から相互に評価し、一言アドバイスを送り合いました。少人数のグループに分けたことで、一人あたりの発表・質疑の時間を確保しやすくなり、聴き手も落ち着いてフィードバックできます。聴き手にまわって「何が伝わり、何が伝わらないか」を見取ることも、“伝わる”を考える大切な学びです。

取り上げられた“もの”はさまざまでした。ある生徒は、愛用の筆箱について、機能性やカラー展開を説明しながら、購入に至ったエピソードを織り交ぜて聴き手の興味を引きつけていました。別の生徒は、iPad に付けているキーボードの発表で、まず「キー配列」や道具としてのキーボードの奥深さを語ったうえで、自分のものが純正品であることを紹介。打鍵音の効果音や、アニメーションと効果音の組み合わせを巧みに使って構成していました。部活で使うテニスシューズやサッカーのスパイクを、アニメーションを効かせて紹介する生徒もいます。いずれも実物がない分、「どこを写真で見せ、どこを言葉で語るか」を一人ひとりが考え抜いた発表でした。

発表を終えて、生徒には良かった点と課題の両方を伝えました。スライドへの向き合い方は総じて丁寧で、アニメーションを効果的に使えている生徒も多くいました。一方で、効果音やアニメーションを盛り込んだ発表では、「自分の思ったとおりに動くか」が気になってしまい、聴き手の反応を見ながら話す姿勢が弱くなる場面も見られました。技術で伝えることと、その場で相手を見て伝えること――その両立が次の課題です。

2学期は、この単元で身につけた「複数スライド+アニメーションでストーリーを作る力」を土台に、自分の夏の自由研究を15秒の動画CMにまとめる制作へと進みます。静止したスライドから動画へ、3分から15秒へ。発表の場では“再生する”形になる分、伝える工夫は編集の段階に移り、限られた時間で何を残すかがより問われます。テクノロジーを遠ざけるのではなく、自分の伝えたいことを実現するための手段として使いこなす力を、生徒一人ひとりの中に育てていきたいと考えています。

(文:早川太脩:情報プログラミング担当)